ホームWhat's New
What's New
What's New:38
2020年11月16日
日本や世界各地の風景を詩情豊かに描き出し、昭和の国民的画家と謳われた東山魁夷(1908-1999)。近年も大規模な回顧展が続き、平成から令和の世へと移り変わりゆくなかでも、魁夷の作品は人々の心を魅了し続けています。このたび、山種美術館では、魁夷の芸術を構成する要素のうち「四季」と「風景」をテーマに、魁夷を中心に近代・現代の画家たちが描いた作品を展示する特別展を開催いたします。

1908(明治41)年、横浜に生まれた魁夷は、東京美術学校で日本画を学んだのち、ドイツに留学します。戦前・戦時中の苦難の時代を経て、戦後は風景画家として活躍し、静謐で叙情性あふれる独自の境地を確立しました。本展では、戦後、魁夷が新たな風景画を求めた北欧滞在を経て、魁夷の日本の伝統美への回帰にいたる時期に焦点をあて、当時を代表する珠玉の優品をご紹介します。

なかでも、皇居宮殿を飾る魁夷の壁画を見た当館初代館長の山崎種二が、ひろく人々が鑑賞することができるようにと、魁夷に制作を依頼した同趣作品《満ち来る潮》は、日本の海のイメージと日本絵画の装飾性が凝縮され、日本美への回帰を象徴する作品といえるでしょう。また、同時期に制作された《年暮る》をはじめとする「京洛四季」連作は、作家・川端康成の言葉をきっかけに着手されたもので、古都の風情と繊細な季節のうつろいが見事なまでに表現されています。

さらに本展では、「京洛四季」のように、日本の四季をひと揃えに描く伝統的な主題表現や、春夏秋冬折々の表情を捉えた風景表現にも着目し、魁夷の師・川合玉堂や結城素明、東京美術学校の同窓生である山田申吾や加藤栄三、皇居宮殿の装飾をともに手がけた山口蓬春や杉山寧をはじめとする近代・現代の画家の優品をあわせて展示します。本展を通じて、日本人が自然と向き合い培ってきた季節への鋭敏な意識を感じていただければ幸いです。
2020年09月20日
竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイスの開催を記念して新しい図録が出来上がりました。
2020年09月18日
9月18日より2021年度版のカレンダーの承りを開始いたしました。お届けは、10月初旬からになります。よろしくお願い申し上げます。
2020年09月14日
動物たちの愛嬌のある仕草や優美なたたずまいは、私たちの心を和ませ、時に癒してくれます。古今の日本の絵画においてもさまざまな種類の生き物が描かれ、人々に親しまれてきました。このたび山種美術館では、竹内栖鳳(たけうちせいほう)(1864-1942)をはじめとする近代・現代の日本画家が手がけた、魅力あふれる動物の表現をご堪能いただく展覧会を開催します。

近代京都画壇を牽引した日本画家・竹内栖鳳は、その生涯で数多くの動物を描き、卓越した描写力により動物画の名手として高く評価されました。1924(大正13)年に制作された《班猫》【重要文化財】は、画家の代表作であるとともに、近代日本画における動物画の傑作として知られます。静岡県の沼津で偶然出会った猫に魅せられた栖鳳は、この猫を丹念に観察、写生して本作品を完成させました。猫のしなやかな動きや鋭い視線、柔らかな毛を巧みな筆遣いで描き出した《班猫》は、当館のコレクションのなかで最も人気を集める作品のひとつです。

本展では、《班猫》を約4年ぶりに特別公開するとともに、栖鳳が動物を描いた絵画17点を一挙にご紹介します。また、栖鳳に学んだ西村五雲(にしむらごうん)、西山翠嶂(にしやますいしょう)、橋本関雪(はしもとかんせつ)や、上村松篁(うえむらしょうこう)、竹内浩一(たけうちこういち)など動物表現を得意とする京都の画家、さらに、小林古径(こばやしこけい)、奥村土牛(おくむらとぎゅう)ら東京画壇を代表する画家たちによる、個性豊かな動物画の優品を一堂に展示します。愛らしい犬や猫から勇壮な馬や牛、ユーモラスな蛙まで、生き物へのあたたかなまなざしが感じられる多彩な作品をご覧いただきながら、日本画に描かれた動物たちのパラダイスをお楽しみください。

なお、本展の会期中には併設展示として、昭和から平成にかけて活躍した歴史画の第一人者、守屋多々志(もりやただし)による《西教伝来絵巻》試作*を特別に公開します。本作品は2019(令和元)年11月のローマ教皇の来日を記念し、ヴァチカンに献呈されるものです。守屋多々志(1912-2003)は、1981(昭和56)年にローマ教皇が来日された際にも、キリシタンの天草四郎の武者姿を描いた屏風《ジェロニモ天草四郎》*を制作し、教皇に献呈する前に当館で公開しました。今回の《西教伝来絵巻》試作は、日本へのキリスト教伝来をテーマとした作品で、献呈前に日本で初公開となる貴重な機会です。
2020年07月20日
7月18日(土)より再開いたしました。ご来館をお待ちしております。インターネットショップも再開いたしました。
2020年04月17日
ネットショップは、当面の間 お承りを休止いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、ご容赦くださいませ。
2020年03月03日
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にともない、現在、国際的に日本への注目が高まっています。なかでも文化・芸術への関心が向けられることの多いこの機会に、山種美術館では、日本を象徴する花として愛されてきた、桜を描いた絵画を一堂に展示する展覧会を開催いたします。
古くから日本の山野に自生していた桜。中世、近世では貴族、武家など上層階級を中心に自邸や名所の桜が鑑賞され、江戸時代には多数の品種が生み出されるとともに、花見が庶民にまで広く浸透し、日本人の桜に対する愛着は一層広がりをみせます。爛漫と咲き誇る華やかさと、はかなく散る移ろいやすさを併せ持つ桜は、芸術においても、古来詩歌に詠まれ、調度や意匠に取り入れられ、あるいは絵画化されるなど、多彩に表現されてきました。
本展では、日本人の美意識と深く結びついた桜に焦点をあて、所蔵の近代・現代日本画の中から約50点の作品をご紹介いたします。満開の桜の下に女性たちが集う様子を描いた菱田春草《桜下美人図》、桜の名所として知られる吉野山(奈良)を題材とした奥村土牛《吉野》、名木「三春の滝桜」(福島)に取材した橋本明治《朝陽桜》、また、『太平記』にみる児島高徳の「忠義の桜」の逸話を題材とした橋本雅邦《児島高徳》など、風俗、名所、物語をはじめ、さまざまな主題の作品に桜は登場します。
2020年春、桜の絵画で満開となる美術館で、近代・現代の日本画家たちによる、多彩な桜の表現をご堪能ください。
2019年12月23日
生涯にわたり美人画を描き続けた日本画家・上村松園(1875-1949)。このたび、山種美術館が広尾に移転し開館してから10周年を迎えたことを記念して、当館が所蔵する松園の作品を一挙公開する特別展を開催いたします。当館創立者で初代館長の山﨑種二(1893-1983)は、松園と親しく交流しながら作品を蒐集しました。《蛍》、《砧》、《牡丹雪》などの代表作を含む当館所蔵の作品計18点は、屈指の松園コレクションとして知られます。
京都で生まれ育った松園は、京都府画学校に通い鈴木松年に学んだのち、幸野楳嶺、竹内栖鳳に師事し、技法の習得に励みました。早くから頭角を現し、江戸や明治の風俗、和漢の古典に取材した女性像を描いて、文展や帝展など数々の展覧会に出品を重ねて活躍します。美人画の名手として高く評価され、1948(昭和23)年には女性として初めて文化勲章を受章しました。「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」と語った松園が描き続けた気品ある美人画は、今なお多くの人々に愛されています。
本展では、松園と同時代に活躍し「西の松園、東の清方」と並び称された鏑木清方や、その弟子の伊東深水の美人画、さらに村上華岳、小倉遊亀、橋本明治などの日本画家による、多彩な女性像をご紹介します。松園の美人画とともに、近代・現代のさまざまな画家たちが女性の姿を描き出した作品をご覧いただきながら、日本画における美人画の世界の豊かな広がりや、その表現の展開をお楽しみいただければ幸いです。
2019年12月16日
ネットショップでお申込みいただいた商品のお届けは、年内は12月27日まで、年始は1月7日から順次お届けになります。お届け日指定の場合、ご注意くださいませ。
2019年11月02日
東山魁夷(ひがしやまかいい)の青、奥田元宋(おくだげんそう)の赤―。ある特定の色が画家の名と結び付けられ、代名詞のように語られることがあります。絵画の中の色は、作品のイメージや画家本人の世界観を伝えるうえで、重要な役割を担っているといえるでしょう。このたび山種美術館では、近代・現代の日本画から印象的に色が表された作品を取り上げ、画家と色の密接な関わりをひもとく展覧会を開催いたします。
明治時代に入り、日本は様々な分野で西洋の影響を受けましたが、絵画の色も例外ではありませんでした。元来、日本美術の伝統的な絵具は、群青は藍銅鉱(らんどうこう)、白は胡粉などに見られるように、鉱石や貝殻をはじめとする天然素材が主に用いられてきました。そのため、表現できる色数も限られていましたが、近代以降、多彩な合成顔料の流入や、新たな人造の岩絵具が開発されたことなどにより、色の種類が増加していきます。
このような画材の広がりは、日本画家に刺激と表現の多様化をもたらしました。画家たちの間では新たに開発・輸入された合成絵具や西洋の色彩学などを取り入れて制作を試みる者がいる一方で、天然岩絵具を中心とした伝統的な彩色表現が日本画の神髄とみなす者もおり、それぞれが日本画ならではの色の可能性を追求しながら、バリエーション豊かな作品を生み出しています。
本展では、《年暮る》で雪降る京都を青色で静謐に表した魁夷、《奥入瀬(秋)》で紅葉した奥入瀬渓流を赤色で鮮麗に描いた元宋をはじめ、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、奥村土牛(おくむらとぎゅう)など色を効果的に取り入れた日本画家の作品を約50点展示します。画家が自らの芸術を創造するため、どのような色を制作に活かしたのか、それぞれの言葉や、社会的背景などを踏まえながら、色を通じて見えてくる画家たちの軌跡をご紹介いたします。
※作品はいずれも山種美術館蔵
2019年10月01日
2020年 山種美術館カレンダー販売開始しました
トップページ、おすすめ商品よりご購入いただけます。
2019年08月31日
このたび山種美術館では広尾開館10周年を記念して、近代日本画を代表する4人の画家、横山大観(よこやまたいかん)(1868-1958)・菱田春草(ひしだしゅんそう)(1874-1911)・川合玉堂(かわいぎょくどう)(1873-1957)・川端龍子(かわばたりゅうし)(1885-1966)の作品を一堂に展示し、ご覧いただく展覧会を開催します。

大観・春草・玉堂・龍子はいずれも、伝統をふまえながら新しい時代に即した絵画を模索し、日本画の発展を導きました。一方で、彼らの主な活動の場は異なっています。大観と春草は日本美術院において、さまざまな技法や表現を試み、革新的な日本画を生み出しました。玉堂は官展を中心に活躍し、日本画における風景表現に新境地を拓いています。また、龍子は、再興日本美術院を脱退して自ら主宰する青龍社を創立、大画面の迫力ある作品を発表して画壇にインパクトを与えました。これら4人の画家に焦点をあて、彼らの画業をたどりながら、近代日本画の歩みを振り返ります。

さらに、晩年の大観・玉堂・龍子の3人による松竹梅展(1955-1957年、画廊・兼素洞で開催)にも注目します。松竹梅展は当館創立者・山﨑種二の希望により企画された展覧会です。種二は彼らと交流を重ねながら作品を蒐集していました。

本展では、当館所蔵の松竹梅展の作品を全点展示するとともに、南画とやまと絵を融合させた大観《作右衛門の家》、光や空気の描出に挑んだ「朦朧体(もうろうたい)」の代表作である春草《釣帰(ちょうき)》、田園の情景を生き生きと表した玉堂の《早乙女》、第1回青龍展に出品された記念碑的な龍子《鳴門》など、山種コレクションから各画家の珠玉の作品をご紹介します。近代日本画のパイオニアとして画壇を牽引した、大観・春草・玉堂・龍子の競演をお楽しみください。
2019年08月10日
山種美術館では、日本画の奨励・普及活動の一環として、1971(昭和46)年に「山種美術館賞」を創設し、1997(平成9)年までの隔年14回にわたり、「山種美術館賞展 今日の日本画」を実施しました。2016(平成28)年には、当館の開館50周年を記念し、かつての「山種美術館賞」の趣旨を継承しつつ、装いを新たにした公募展「Seed 山種美術館 日本画アワード」をスタートさせました。本アワードは、日本画の新たな創造に努める優秀な画家の発掘と奨励を目指すもので、この取り組みを通じて、新しい時代に向けた日本画家の育成と日本画の発展に貢献することができればと願っています。

第2回目(「山種美術館賞」から数えて通算16回目)となる今回のアワードでは、7人の審査員による厳正な審査の結果、全189点の応募作品の中から、大賞・安原成美《雨後のほほ》、優秀賞・青木秀明《鴯鶓(エミュー)ノ図 -飛べない鳥-》、特別賞(セイコー賞)・近藤守《nostalgie》、および奨励賞として、江川直也《雪野に佇む》、北川安希子《新天地》、外山諒《Loka-dhaatu》、永岡郁美《青想夜夢》、森萌衣《団欒》の5作品の受賞が決定しました。

本展では、これらの受賞作品をはじめとする入選作品全44点を一堂に公開します。今後の活躍が期待される若手画家たちの作品を通して、日本画の新たな息吹と確かな未来を感じ取っていただければ幸いです。

なお、本展会期中には、当館コレクションの中から、重要文化財を含む江戸絵画の優品を厳選して展示し、近代・現代日本画の礎となった古典絵画の世界もご紹介します。若手画家の入選作品とあわせて是非ご覧ください。
2019年08月08日
お盆期間中、8月10日~18日は配送業務を停止しております
期間中にご注文頂きました商品は、19日より随時発送いたします
2019年06月26日
いつも山種美術館ミュージアムショップをご利用いただき、誠にありがとうございます。
G20大阪サミットの開催により、2019年6月28日(金)、29日(土)の前後、一部地域でお荷物のお届けに遅延が生じる可能性がございます。
お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
2019年06月08日
本年は、日本画家・速水御舟(1894-1935)の生誕から125年、そして山種美術館が現在の渋谷区広尾の地に移転し開館してから10年目にあたります。この節目の年を記念し、当館の「顔」となっている御舟コレクションの全貌を紹介する展覧会を開催いたします。

当館創立者の山崎種二(1893-1983)は御舟とは一つ違いでしたが、御舟が40歳という若さで早世したため、直接交流することがかないませんでした。しかし、御舟の芸術を心から愛した種二は、機会あるごとにその作品を蒐集し、自宅の床の間にかけて楽しんでいました。

一方、御舟は23歳の若さで日本美術院同人に推挙され、横山大観や小林古径らにも高く評価された画家。「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」という御舟の言葉どおり、彼は生涯を通じて、短いサイクルで次々と作風を変えながら、画壇に新風を吹き込んでいきました。

御舟は40年という短い生涯に、およそ700余点の作品を残しましたが、その多くが所蔵家に秘蔵されて公開されることが少なかったため、「幻の画家」とも称されていました。1976年、旧安宅産業コレクションの御舟作品105点の一括購入の相談が種二のもとに持ち込まれ、種二は購入の決断をします。その結果、すでに所蔵していた作品とあわせて計120点の御舟作品が山種美術館の所蔵となり、以来当館は「御舟美術館」として親しまれてきました。

本展では、御舟の代表作ともいえる《炎舞》、《名樹散椿》◆(ともに重要文化財)をはじめとして、《錦木》など初期の作品から《牡丹花(墨牡丹)》など晩年の作品まで、各時代の作品をまとめてご覧いただきます。

当館の御舟コレクション全点公開は2009年の広尾開館以来10年ぶりとなります。この機会に、御舟芸術の真髄をお楽しみください。

※作品はいずれも山種美術館蔵 ◆前期展示(6/8-7/7)
2019年04月22日
ゴールデンウイーク期間中、4月25日~5月6日は配送業務を停止しております。
期間中にご注文頂きました商品は、5月7日より随時発送いたします。
2019年04月06日
美しく咲き誇る花々は、古くから日本人の心を魅了してきました。春夏秋冬で多彩な表情をみせる花は、詩歌や文学と結びつきながら季節を象徴するモティーフとして愛好され、絵画においても描き継がれています。山種美術館では、春爛漫のこの時期に、四季の花をテーマとした展覧会を開催します。梅、桜、牡丹、百合、朝顔、菊、水仙、椿など、各季節の代表的な花々が描かれた、江戸時代から現代までの作品をご覧いただきます。

花の画題には、鳥や虫、人物との組み合わせなど、多彩なバリエーションがあり、季節の情趣を感じさせながら私たちの目を楽しませてくれます。江戸時代の琳派の絵師・酒井抱一は、月夜の梅を描いた《月梅図》、菊に瑠璃鶲を配した《菊小禽図》など、風雅な花の姿を描き出しました。近代以降にも、桜を愛でる女性像を描いた上村松園《桜可里》、初夏の泰山木と瑠璃鳥を取り合わせた小林古径《白華小禽》、雨上がりの紫陽花を描いた山口蓬春《梅雨晴》といったように、季節特有の自然美を捉えた花の絵の優品が数多く生み出されています。

本展では、描かれた花々を春夏秋冬の順に展示し、移り変わる季節を会場内でお楽しみいただきます。また、花言葉や花の特徴、作品や花への想いを語った画家の言葉などを交え、花の絵画の魅力をさまざまな視点からご紹介します。描かれた花により満開となった美術館で、百花繚乱の世界をご堪能ください。
2019年02月02日
1966(昭和41)年、東京・日本橋兜町に開館した山種美術館は、2009(平成21)年10月、渋谷区広尾に移転して新美術館をオープンしました。2019年、広尾開館10周年を記念する特別展第一弾として、当館と縁が深く、同年に生誕130年を迎える日本画家・奥村土牛(おくむらとぎゅう)(1889-1990)に焦点をあてた展覧会を開催します。当館の創立者・山﨑種二は、「絵は人柄である」という信念のもと、画家と直接関わり合うなかで作品を蒐集しました。特に土牛とは親しく、まだ無名だった研鑽時期の支援から約半世紀にわたり交流を続けた結果、現在、当館は135点に及ぶ屈指の土牛コレクションで知られています。

土牛は、画家志望であった父親のもとで10代から絵画に親しみ、梶田半古(かじたはんこ)(1870-1917)の画塾で生涯の師と仰ぐ 小林古径(こばやしこけい)(1883-1957)に出会います。38歳で院展初入選と遅咲きでありながら、展覧会に出品を重ねて40代半ばから名声を高め、101歳におよぶ生涯において、晩年まで制作に取り組みました。土牛は、半古や古径から学んだ写生や画品を重視する姿勢を生涯貫き、「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」という自らの言葉を体現するような作品を数多く生み出しました。

本展では、瀬戸内海の鳴門の渦潮を描いた《鳴門》や、古径を偲んで制作した《浄心》《醍醐》などの代表作をはじめ、活躍の場であった院展の出品作を中心に約60点を展示し、土牛の画業をたどります。

土牛という雅号は、中国・唐の詩句「土牛石田を耕す」に由来します。その名を糧に、地道に画業へ専心した土牛。80歳を過ぎてなお「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」と語り、精進を重ね、100歳を超えても絵筆をとり続けました。山種美術館が広尾開館10周年を迎え、当館と縁の深い奥村土牛が生誕130年となるこの機会に、清らかで温かみ溢れる土牛芸術をご堪能ください。
2018年11月16日
当館創立者の山﨑種二(やまざきたねじ)は、1968(昭和43)年に完成された皇居宮殿を飾った美術品に感銘を受け、より多くの人々にこの優れた作品をご覧いただきたいという願いから、山口蓬春(やまぐちほうしゅん)、上村松篁(うえむらしょうこう)、橋本明治(はしもとめいじ)、東山魁夷(ひがしやまかいい)ら宮殿装飾を手掛けた日本画家たちに同趣向の作品制作を依頼しました。

このたび、山種美術館では、これら当館所蔵の皇居宮殿にちなんだ作品を4年ぶりに一挙公開するとともに、皇室ゆかりの美術をご紹介する展覧会を開催いたします。

加えて、天皇の手になる書・宸翰(しんかん)や宮家に伝来した絵巻、皇族から下賜された美術工芸品、野口小蘋(のぐちしょうひん)、下村観山(しもむらかんざん)、西村五雲(にしむらごうん)らによる宮家旧蔵の日本画など、皇室とゆかりの深い作品をご覧いただきます。

さらに、1890(明治23)年に皇室による美術の保護奨励の目的で設置された帝室技芸員制度にも注目します。橋本雅邦(はしもとがほう)、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、上村松園(うえむらしょうえん)らの日本画から、川之邊一朝(かわのべいっちょう)、並河靖之(なみかわやすゆき)、濤川惣助(なみかわそうすけ)、香川勝廣(かつがわかつひろ)らの工芸作品、そして黒田清輝(くろだせいき)や和田英作(わだえいさく)らの洋画まで、帝室技芸員に任命された作家たちの優品を通して、近代の美術家たちが皇室とどのように関わってきたかを振り返ります。