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2023年02月27日
世界に誇る日本のシンボル、富士山。2013年にユネスコの世界遺産に登録され、2023年で10周年を迎えます。山種美術館ではこれを記念し、富士山を描いた日本画と浮世絵を中心に、同じく日本の象徴である桜を題材とした日本画をあわせ、周年を祝う特別展を開催します。
2022年12月23日
12月23日17時をもって「2023年カレンダー」のお申し込みを終了させていただきました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
2022年12月05日
四季折々の豊かな自然に恵まれた日本。人々はその姿をさまざまに表現してきました。このたび、山種美術館では日本の風景や自然を題材にした作品に焦点をあて、江戸時代から現代までの画家たちが描いた優品をご紹介する特別展を開催いたします。
日本の風景は古くから美術の題材として描き継がれてきました。特に19世紀、江戸後期には、街道が整備され人々の旅に対する意識が増し、日本各地の宿場や名所を捉えた歌川広重の浮世絵風景画が高い人気を得ます。明治に入ると、西洋の写実的な風景画が日本にもたらされたことや、日本各地の風土への関心が高まった風潮により、目の前に広がる身近な自然が描かれはじめます。さらに昭和の戦後には、抽象的な表現や画家の心に刻まれた景色も風景画に取り入れられるようになり、日本の風景の描かれ方が多様化していきました。
本展では、宿場や名所を中心に抒情豊かな風景を表した歌川広重の《東海道五拾三次》や《近江八景》、自然とともに日常を営む人々を取材した川合玉堂の《早乙女》、送電塔の立つ農村風景という現代的な情景を描き出した田渕俊夫の《輪中の村》などをご紹介します。風景画の名手たちが描いた数々の優品とともに、日本の風景の魅力をご堪能いただければ幸いです。
2022年10月03日
動物を描けばその体臭までも表す
近代京都画壇の中心的存在として活躍した竹内栖鳳(せいほう) (1864-1942)。栖鳳は、円山・四条派の伝統を引き継ぎながらも、さまざまな古典を学びました。1900(明治33)年にパリ万博視察のため渡欧、現地の美術に大きな刺激を受けた栖鳳は、帰国後、西洋絵画の技法も取り入れ、水墨画など東洋画の伝統も加味して独自の画風を確立し、近代日本画に革新をもたらしました。栖鳳の弟子・橋本関雪(かんせつ)によれば、動物を描けばその体臭まで描けると栖鳳自身が語ったというその描写力は、高く評価され、今なお新鮮な魅力を放っています。また優れた教育者でもあった栖鳳は、多くの逸材を育て、近代日本画の発展に尽くしました。

没後80年を記念し、山種美術館では10年ぶりに竹内栖鳳の特別展を開催します。本展では、動物画の傑作にして栖鳳の代表作《班猫》【重要文化財】をはじめ、東京国立博物館所蔵の《松虎》(前期展示)、個人蔵の初公開作品を含む優品の数々とともに、その画業をたどります。さらに、京都画壇の先人たち、同時代に活躍した都路華香(つじかこう)や山元春挙(やまもとしゅんきょ)のほか、栖鳳の門下である西村五雲(ごうん)、土田麦僊(ばくせん)、小野竹喬(ちっきょう)らの作品もあわせて紹介します。また弟子の一人、村上華岳(かがく)による《裸婦図》【重要文化財】を特別に公開します。

近代日本画の最高峰といえる栖鳳の傑作の数々、そして京都画壇を代表する名だたる画家たちの名品をご堪能ください。
2022年07月05日
2022年夏、山種美術館では水をテーマとした涼やかな展覧会を開催いたします。

四方を海に囲まれ、湿潤な気候で降水量の多い日本では、水は身近な存在であり、古来、名所絵や山水画、物語絵など、さまざまな主題の中で描かれてきました。近代以降の日本画においても、海や湖、川や滝を題材とした風景画から、水辺の場面を描く歴史画まで、水が主要なモティーフとなった作品は時代やジャンルを問わず幅広く見いだせます。

本展では、海辺を舞台とし江戸時代に描かれた《源平合戦図》から、《名所江戸百景 大はしあたけの夕立》など雨を描いた名作で知られる歌川広重(1797-1858)の名所絵、高価な岩絵具・群青をふんだんに使って海を表現する川端龍子(1885-1966)の《黒潮》、画家の代名詞にもなっている千住博(1958- )の「滝」シリーズまで、水を印象的に描きだした優品の数々を展示いたします。

暑さ厳しき折、涼感にあふれた美術館の展示室で、日本の画家たちが描き出すさまざまな水のかたちをお楽しみいただき、涼しさとともに、水の恵みと自然の豊かさを感じていただければ幸いです。

[特集展示]日本画に描かれた源平の世界
昨今、大河ドラマやアニメで注目を集めている源平の物語は、日本画でもたびたび取り上げられ、小林古径(1883-1957)や前田青邨(1885-1977)をはじめ、歴史画を得意とする画家たちを中心に描き継がれてきました。

そのなかでは、宇治川や瀬戸内海など、水辺を舞台とした場面が数多く絵画化されています。これらの作品を「水のかたち」展で取り上げるとともに、源義経と藤原秀衡を描く安田靫彦(1884-1978)《平泉の義経》、平清盛の娘・徳子(建礼門院)を描く今村紫紅(1880-1916)《大原の奥》など、源平のヒーロー、ヒロインを題材とした作品をあわせて展示いたします。

2022年04月19日
戦後の日本画壇を牽引した奥田元宋(1912-2003)の生誕110周年を記念し、元宋とその活躍の舞台となった日展(日本美術展覧会)の画家たちを紹介する展覧会を開催します。元宋は広島に生まれ、19歳で上京し、遠縁にあたる同郷出身の日本画家・児玉希望に入門します。1936(昭和11)年、日展の前身である文展(文部省美術展覧会)に初入選、以後、官展(政府主催の展覧会)へ出品を重ねました。戦後は、「元宋の赤」とよばれる赤を基調に、雄大な自然を描いた独自の風景画を確立しました。また、和歌にも秀で、1981年には宮中歌会始の召人に選ばれています。

本展では、「元宋の赤」が際立つ大作《奥入瀬(秋)》、ならびに《奥入瀬(春)》を同時に公開するほか、宮中歌会始の際の和歌を記した作品も展示します。

さらに、文展、帝展(帝国美術院展覧会)、日展へと続く官展の歴史を振り返りながら、帝展時代から活躍した福田平八郎をはじめ、川合玉堂の第1回日展出品作、「日展三山」と称された東山魁夷・杉山寧・髙山辰雄のほか、山口蓬春、山口華楊など日展で活躍した名だたる画家たちの優品とともに、20世紀の日本画壇をリードしてきた人気作家たちの足跡をたどります。
2022年01月24日
一年間を通じ開催してきた山種美術館開館55周年記念の最後を飾る展覧会として、当館と縁の深い日本画家・上村松園(1875-1949)と、その長男で生誕120年を迎える上村松篁(1902-2001)に焦点を当てた特別展を開催します。

美人画の名手として知られる女性画家・上村松園は、生涯にわたり気品あふれる女性像を描きました。江戸や明治の風俗、和漢の古典に取材した美人画を描いて京都画壇で活躍し、1948年には女性として初めて文化勲章を受章しています。当館創立者の山﨑種二が、松園と親しく交流しながら蒐集した計18点の作品は、代表作《砧》《牡丹雪》を含む屈指の松園コレクションとして知られます。

また、松園の長男・上村松篁は、花鳥画を得意としました。官展を中心に出品を重ねたのち、1948年には創造美術(現・創画会)を結成し活躍します。写実を基礎とする洗練された格調高い花鳥を描き続け、京都画壇を牽引しました。

本展では、当館が所蔵する松園の美人画と松篁の花鳥画、さらには、松篁の長男である上村淳之の作品のほか、同時代の画家による優品の数々を展示します。美人画と花鳥画が織りなす華やかで優美な世界をご堪能いただければ幸いです。
2021年12月24日
12月24日を持ちまして、2022年版カレンダーの販売を終了させていただきました
2021年11月08日
山種美術館では、開館55周年を記念し、当館がその代表作を多数所蔵している日本画家・奥村土牛 (1889-1990)の展覧会を開催します。当館の創立者・山﨑種二(1893-1983)は、「絵は人柄である」という信念のもと、同時代の画家と直接交流しながら作品を蒐集しました。特に土牛とは親交が深く、画業初期の頃から「私は将来性のあると確信する人の絵しか買わない」と土牛本人に伝え、その才能を見出して支援し、約半世紀にわたり家族ぐるみの交際を続けました。現在、当館は135点に及ぶ屈指の土牛コレクションで知られています。

土牛は、画家志望であった父親のもとで10代から絵画に親しみ、16歳で梶田半古 (1870-1917)の画塾に入門、生涯の師と仰ぐ小林古径 (1883-1957)に出会います。38歳で院展初入選と遅咲きでありながら、展覧会に出品を重ねて40代半ばから名声を高めます。美術大学で後進の指導にもあたり、101年におよぶ生涯を通じて、制作に取り組みました。土牛は、半古や古径から学んだ写生や画品を重視する姿勢を生涯貫き、「絵を通して伝わってくるのは作者の人間性」という自らの言葉を体現するような作品を数多く生み出しました。

本展では、瀬戸内海の鳴門の渦潮を描いた《鳴門》や、古径を偲んで制作した《浄心》、《醍醐》などの代表作をはじめ、活躍の場であった院展の出品作を中心に、土牛の画業をたどります。

土牛という雅号は、「土牛石田を耕す」の中国・唐の詩から父親が名付けたものです。その名の通り、地道に画業へ専心し続けた土牛。80歳を超えてなお「死ぬまで初心を忘れず、拙くとも生きた絵が描きたい」、「芸術に完成はあり得ない」、「どこまで大きく未完成で終わるかである」と語り、精進を重ねました。近代・現代を代表する日本画家として、今なお人々に愛されている土牛芸術の魅力を味わっていただければ幸いです。
2021年08月30日
1966(昭和41)年に日本初の日本画専門の美術館として開館した山種美術館は、2021(令和3)年に開館55周年を迎えます。これを記念し、当館のコレクションの「顔」ともいえる日本画家・速水御舟(1894-1935)と、その弟子の吉田善彦(1912-2001)に焦点をあて、彼らが生み出した超絶技巧による作品をご紹介する特別展を開催いたします。

御舟は、横山大観や小林古径らから評価を受け、23歳の若さで日本美術院(院展)同人に推挙されます。「梯子の頂上に登る勇気は貴い、更にそこから降りて来て、再び登り返す勇気を持つ者は更に貴い」という本人の言葉どおり、古典を基礎に次々と新たな作風や技法に挑み、40歳で早世するまで日本画壇に新風を吹き込み続けました。

一方の善彦は、17歳で姻戚関係の御舟に弟子入りし、写生や古画の模写、作画姿勢などを学びます。また、戦中・戦後には、法隆寺金堂壁画の模写事業にも参加しました。これらの経験を通じて、善彦は古画の風化した美しさを追求するようになり、金箔ともみ紙(がみ)を用いた「吉田様式」と称される独自の絵画世界を生み出すにいたりました。

本展において、御舟の作品では、近年の調査で西洋の顔料を使っていた事実が判明した《和蘭陀菊図》をはじめ、金砂子を地一面に使う「撒きつぶし」を用いた《名樹散椿》【重要文化財】、本人曰く「二度と出せない」色で表した《炎舞》【重要文化財】など、また善彦の作品では、「吉田様式」を初めて用いた《桂垣》や、この技法を熟達させた《大仏殿春雪》☆、《春雪妙義》などを展示し、二人の代表作をはじめとする優品をご紹介します

御舟と善彦は、ともに伝統的な技法を土台に精緻で独創的なアレンジを加えて、それぞれ唯一無二の画風を確立した画家です。本展を通じ、御舟と善彦の師弟が追求した超絶技巧の世界をご覧ください。

2021年06月28日
このたび山種美術館では、開館55周年を記念して、所蔵の浮世絵と江戸絵画の優品をご紹介する展覧会を開催いたします。

当館の浮世絵コレクションには、鈴木春信から鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重まで、六大絵師の名品が多数含まれており、保存状態も良いことから、専門家の間で高く評価されています。本展では、写楽の個性的な役者大首絵3点、「赤富士」で名高い北斎の《冨嶽三十六景凱風快晴》、広重の保永堂版《東海道五拾三次》など、絵師の代表作が揃う珠玉のコレクションを前・後期に分けて全点公開します。

また、当館の江戸絵画コレクションは、創立者・山崎種二が、米問屋の小僧時代に江戸琳派の絵師・酒井抱一の作品を見たことをきっかけとして、美術品の蒐集を行うようになったことから、琳派の作品が充実しています。本展では、俵屋宗達絵・本阿弥光悦書による《四季草花下絵和歌短冊帖》や《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》、酒井抱一《秋草鶉図》【重要美術品】などの琳派作品をはじめ、岩佐又兵衛《官女観菊図》【重要文化財】から、国内外で注目される伊藤若冲、さらに池大雅などの文人画、狩野派や円山四条派まで、諸流派による個性豊かな優品の数々をご覧いただきます。

江戸時代の浮世絵や絵画は、時代や国境を超えて人々に愛されてきました。印象派に影響を与えた浮世絵や、装飾性が高く評価された琳派などの江戸絵画は、日本の文化を世界に広めた一端を担ってきました。世界に認められたその芸術性は、今も変わらぬ輝きを放っています。本展を通じて、当館秘蔵の浮世絵・江戸絵画の魅力をご堪能ください。
2021年04月06日

1966(昭和41)年、日本初の日本画専門の美術館として開館した山種美術館は、2021(令和3)年に開館55周年を迎えます。当館ではこれを記念し、花を描いた絵画で美術館を満開にする特別展「百花繚乱」を開催いたします。

日本では古くから、四季折々を彩る花を愛で、詩歌に詠い、絵画や工芸のモティーフとして表してきました。とりわけ絵画では、中世以来、中国から伝来した花鳥画や草花図などの主題表現を基盤として、梅や杜若、水仙など、季節ごとに咲く単一の種類の花が主役となる作品から、四季花鳥図のように、本来は開花時期の異なる花々を一画面に取りそろえた作品まで、多彩な花の表現が展開しました。明治以降になると、それまでの美意識を引き継ぎつつ、近代的な感覚や季節感、西洋絵画の手法などを取り入れながら、新たな花の表現が模索され、個性豊かな作品が生み出されています。

本展では、近代・現代の日本画を中心に、横山大観の桜、山口蓬春の紫陽花、小林古径の蓮、速水御舟の椿など、春夏秋冬、1年12ヶ月それぞれの季節を感じさせる花の名画を一堂に展示し、名だたる画家たちの花に寄せるまなざし、創意工夫に満ちた表現をご覧いただきます。また、四季をそろえる伝統を受け継いだ田能村直入《百花》や荒木十畝《四季花鳥》、中国の院体画を意識した福田平八郎《牡丹》、琳派へのオマージュが込められた川端龍子《八ツ橋》など、個々の作品が持つ歴史的背景もあわせてご紹介します。

本展を通じて、百花繚乱の花々に心癒され、日本の画家たちが描き継いできた花の絵画の魅力をご堪能いただければ幸いです。
2021年01月25日
日本の自然や風物を叙情豊かに描き出した川合玉堂(1873-1957)。このたび、山種美術館では、玉堂の約70年にわたる画業を振り返る展覧会を開催いたします。

愛知に生まれ、岐阜で育った玉堂は、京都で望月玉泉、幸野楳嶺に師事したのち、23歳の年に東京に移り、橋本雅邦のもとでさらなる研鑽を積みました。玉堂は、京都で学んだ円山四条派の基礎の上に、雅邦が実践した狩野派的な様式を取り入れ、伝統的な山水画から近代的な風景画の世界へと画風を展開していきます。また、官展で審査員をつとめ、東京美術学校教授、帝室技芸員に任命されるなど、東京の画壇における中心的な役割を果たし、1940(昭和15)年には文化勲章を受章しました。

当館創立者である山﨑種二 (1893-1983) は、玉堂と親しく交流し、戦時中にもしばしば奥多摩の玉堂邸を訪れるほどの間柄でした。その縁から当館の所蔵となった玉堂作品は71点を数えます。本展では、初期の代表作である《鵜飼》、雅邦の影響が色濃い《渓山秋趣》などの明治期の作品から、古典的な筆法と写実的な風景表現を融合させた昭和初期の《石楠花》、自然とともに生きる人々の姿を穏やかに描き出した玉堂芸術の真骨頂ともいえる《春風春水》や《早乙女》、戦後の第1回日展に出品された《朝晴》まで、名品の数々とともに、玉堂の画家としての足跡をたどります。また、支援者であった山﨑種二、玉堂の師である望月玉泉や橋本雅邦、弟子の児玉希望など、玉堂をめぐる人々にも焦点を当て、交流がうかがえる作品やエピソードをご紹介します。

本展を通じ、玉堂の自然に対する真摯なまなざしや、多くの人々に慕われた温かな人柄に触れ、玉堂芸術の魅力を味わっていただければ幸いです。
2020年11月16日
日本や世界各地の風景を詩情豊かに描き出し、昭和の国民的画家と謳われた東山魁夷(1908-1999)。近年も大規模な回顧展が続き、平成から令和の世へと移り変わりゆくなかでも、魁夷の作品は人々の心を魅了し続けています。このたび、山種美術館では、魁夷の芸術を構成する要素のうち「四季」と「風景」をテーマに、魁夷を中心に近代・現代の画家たちが描いた作品を展示する特別展を開催いたします。

1908(明治41)年、横浜に生まれた魁夷は、東京美術学校で日本画を学んだのち、ドイツに留学します。戦前・戦時中の苦難の時代を経て、戦後は風景画家として活躍し、静謐で叙情性あふれる独自の境地を確立しました。本展では、戦後、魁夷が新たな風景画を求めた北欧滞在を経て、魁夷の日本の伝統美への回帰にいたる時期に焦点をあて、当時を代表する珠玉の優品をご紹介します。

なかでも、皇居宮殿を飾る魁夷の壁画を見た当館初代館長の山崎種二が、ひろく人々が鑑賞することができるようにと、魁夷に制作を依頼した同趣作品《満ち来る潮》は、日本の海のイメージと日本絵画の装飾性が凝縮され、日本美への回帰を象徴する作品といえるでしょう。また、同時期に制作された《年暮る》をはじめとする「京洛四季」連作は、作家・川端康成の言葉をきっかけに着手されたもので、古都の風情と繊細な季節のうつろいが見事なまでに表現されています。

さらに本展では、「京洛四季」のように、日本の四季をひと揃えに描く伝統的な主題表現や、春夏秋冬折々の表情を捉えた風景表現にも着目し、魁夷の師・川合玉堂や結城素明、東京美術学校の同窓生である山田申吾や加藤栄三、皇居宮殿の装飾をともに手がけた山口蓬春や杉山寧をはじめとする近代・現代の画家の優品をあわせて展示します。本展を通じて、日本人が自然と向き合い培ってきた季節への鋭敏な意識を感じていただければ幸いです。
2020年09月20日
竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイスの開催を記念して新しい図録が出来上がりました。
2020年09月18日
9月18日より2021年度版のカレンダーの承りを開始いたしました。お届けは、10月初旬からになります。よろしくお願い申し上げます。
2020年09月14日
動物たちの愛嬌のある仕草や優美なたたずまいは、私たちの心を和ませ、時に癒してくれます。古今の日本の絵画においてもさまざまな種類の生き物が描かれ、人々に親しまれてきました。このたび山種美術館では、竹内栖鳳(たけうちせいほう)(1864-1942)をはじめとする近代・現代の日本画家が手がけた、魅力あふれる動物の表現をご堪能いただく展覧会を開催します。

近代京都画壇を牽引した日本画家・竹内栖鳳は、その生涯で数多くの動物を描き、卓越した描写力により動物画の名手として高く評価されました。1924(大正13)年に制作された《班猫》【重要文化財】は、画家の代表作であるとともに、近代日本画における動物画の傑作として知られます。静岡県の沼津で偶然出会った猫に魅せられた栖鳳は、この猫を丹念に観察、写生して本作品を完成させました。猫のしなやかな動きや鋭い視線、柔らかな毛を巧みな筆遣いで描き出した《班猫》は、当館のコレクションのなかで最も人気を集める作品のひとつです。

本展では、《班猫》を約4年ぶりに特別公開するとともに、栖鳳が動物を描いた絵画17点を一挙にご紹介します。また、栖鳳に学んだ西村五雲(にしむらごうん)、西山翠嶂(にしやますいしょう)、橋本関雪(はしもとかんせつ)や、上村松篁(うえむらしょうこう)、竹内浩一(たけうちこういち)など動物表現を得意とする京都の画家、さらに、小林古径(こばやしこけい)、奥村土牛(おくむらとぎゅう)ら東京画壇を代表する画家たちによる、個性豊かな動物画の優品を一堂に展示します。愛らしい犬や猫から勇壮な馬や牛、ユーモラスな蛙まで、生き物へのあたたかなまなざしが感じられる多彩な作品をご覧いただきながら、日本画に描かれた動物たちのパラダイスをお楽しみください。

なお、本展の会期中には併設展示として、昭和から平成にかけて活躍した歴史画の第一人者、守屋多々志(もりやただし)による《西教伝来絵巻》試作*を特別に公開します。本作品は2019(令和元)年11月のローマ教皇の来日を記念し、ヴァチカンに献呈されるものです。守屋多々志(1912-2003)は、1981(昭和56)年にローマ教皇が来日された際にも、キリシタンの天草四郎の武者姿を描いた屏風《ジェロニモ天草四郎》*を制作し、教皇に献呈する前に当館で公開しました。今回の《西教伝来絵巻》試作は、日本へのキリスト教伝来をテーマとした作品で、献呈前に日本で初公開となる貴重な機会です。
2020年07月20日
7月18日(土)より再開いたしました。ご来館をお待ちしております。インターネットショップも再開いたしました。
2020年04月17日
ネットショップは、当面の間 お承りを休止いたします。ご迷惑をおかけいたしますが、ご容赦くださいませ。
2020年03月03日
2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催にともない、現在、国際的に日本への注目が高まっています。なかでも文化・芸術への関心が向けられることの多いこの機会に、山種美術館では、日本を象徴する花として愛されてきた、桜を描いた絵画を一堂に展示する展覧会を開催いたします。
古くから日本の山野に自生していた桜。中世、近世では貴族、武家など上層階級を中心に自邸や名所の桜が鑑賞され、江戸時代には多数の品種が生み出されるとともに、花見が庶民にまで広く浸透し、日本人の桜に対する愛着は一層広がりをみせます。爛漫と咲き誇る華やかさと、はかなく散る移ろいやすさを併せ持つ桜は、芸術においても、古来詩歌に詠まれ、調度や意匠に取り入れられ、あるいは絵画化されるなど、多彩に表現されてきました。
本展では、日本人の美意識と深く結びついた桜に焦点をあて、所蔵の近代・現代日本画の中から約50点の作品をご紹介いたします。満開の桜の下に女性たちが集う様子を描いた菱田春草《桜下美人図》、桜の名所として知られる吉野山(奈良)を題材とした奥村土牛《吉野》、名木「三春の滝桜」(福島)に取材した橋本明治《朝陽桜》、また、『太平記』にみる児島高徳の「忠義の桜」の逸話を題材とした橋本雅邦《児島高徳》など、風俗、名所、物語をはじめ、さまざまな主題の作品に桜は登場します。
2020年春、桜の絵画で満開となる美術館で、近代・現代の日本画家たちによる、多彩な桜の表現をご堪能ください。